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畜産Q&A

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質問

牛の病気と予防について教えてください。(肉牛・乳牛 牛の疾患・伝染病・衛生管理)

口蹄疫やBSEが話題となっていますが、牛にはどんな病気がありますか。牛の病気が人にうつったりするのでしょうか?
また病気の対策にはどんなことをしていますか?

   
   
答え

牛にも極めて多くの種類の病気があります

牛にも極めて多くの種類の病気があります。特に、乳牛は大量の泌乳をするために栄養摂取量と泌乳量とのバランスが崩れ、栄養代謝やホルモン分泌に変調を来たすことで発症する病気(例:乳房炎、繁殖障害、肢蹄病、第四胃変位など)は『乳牛の生産病』と総称されます。また、ウイルスなどの病原体が原因で発症するさまざまな伝染病(呼吸器病、下痢症など)があります。なお、最近問題になっている牛海綿状脳症(BSE)は、病原物質であるプリオンが飼料と共に摂取されることで伝わっていく病気なので、伝染性ではなく伝達性脳症と呼ばれ、牛から牛へとうつる伝染病とは区分されています。

繁殖障害を除き、病気にかかった牛では食欲が低下して乳量も減少します。

 
採食低下によりお腹の凹んだ牛
第四胃変位の手術(家畜診療所の手術室

乳牛の職業病『乳房炎』

生産病として最も重要な病気は『乳房炎』です。この病気は、乳房(乳腺)に細菌が感染することにより発症します。乳房炎にかかってしまうと、乳中に細菌や白血球が出てくるため飲用に適さず、このような乳は廃棄されます。細菌感染は乳の出口である乳頭口からの細菌の侵入によって起きますので、この病気の予防は、搾乳時に乳頭を徹底的に清潔にすることと搾乳直後に乳頭を消毒することにより行われます。また、分娩前2ヶ月間の乾乳期に抗生物質を乳房に注入することや、最近では、ワクチン接種による予防も試みられています。

近代酪農が生んだ『蹄病』

近代酪農の特徴であるコンクリート床は、牛の蹄に重大な問題を引き起こすことが少なくありません。硬いコンクリート上の生活は、蹄に異常摩滅や内出血を引き起こし、牛は、その痛みのために歩けなくなってしまいます。蹄病はまた、高泌乳させようと穀物をたくさん与えすぎるといった栄養管理の失敗が原因で発病するものもあります。予防は、定期的な削蹄や綿密な栄養管理、そして牛床(牛の寝床)に充分な敷きわらを入れて、いつでも休息できるようにしておくことです。牛の身体を支える蹄は、酪農経営を支える基礎として、とても重要な病気のひとつです。
肢蹄病(関節炎、乳頭を踏まないように保護具をはめている)

予防が大切な『伝染病』

ウイルスや細菌によって発症する伝染病は、時として、集団発生することがあります。伝染病予防対策として、いくつかの病気についてはワクチン接種が行われます。しかし、あまりの伝染力の強さや治療方法がないために、感染牛を発見次第直ちに淘汰(殺処分)して感染の拡大を防がなくてはならない病気もあります(口蹄疫、白血病、ヨーネ病など)。
ほとんどの病気は、直接、人にうつることはありませんが、中には人にうつる病気がありますので注意しなければなりません(真菌性皮膚炎や下痢を引き起こすクリプトスポリジウム症など)。牛に限らず、動物に触れた際には、必ず手洗いすることが必要です。さらに、伝染病の多くは、人が靴や着衣に病原体を付着させて持ち運ぶことで被害を拡大させてしまう場合があります。したがって、家畜の飼育施設を訪問する際には、着衣の交換や靴の消毒を徹底することが不可欠です。

回答者/帯広畜産大学 木田克弥
農場入口に散布された車のタイヤ消毒用の石灰

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