一方、牛はトウモロコシ、小麦、大麦、大豆など私たち人間が食料として利用している穀物も食べることができます(写真3)。これらの穀物は牧草や藁など繊維質を多く含む飼料よりも消化されやすく栄養価も高いため、牛乳を多く生産している乳牛や肉牛を太らせるときに給与されています。牛にドッグフードのような飼料を与えていることを見かけることがあるかと思いますが、それは濃厚飼料といってトウモロコシや大豆などの穀類が含まれた栄養価の高い飼料なのです。このため濃厚飼料を与えることによって乳牛により多くの牛乳を生産させ、肉牛をより速く成長させることができますが、与えすぎると胃の中に棲んでいる微生物の調子が崩れ、牛自体も病気になってしまいます。これまでの日本の畜産は、人間が食料として利用できる穀類などを外国からたくさん輸入し畜産物の生産量を増やしてきましたが、同時に病気や環境汚染の問題が深刻化してきました。牛はいろいろなものを食べることができますが、牛は草食動物であるということを今一度見直す時期に日本の畜産はさしかかっています。
回答者/帯広畜産大学 花田正明 |
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小麦ワラの収穫風景 |
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マトジュースの搾り粕 |
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飼料用トウモロコシ |
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