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畜産Q&A

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質問

牛は草しか食べないのですか?(肉牛・乳牛 濃厚飼料・自給飼料)

テレビニュースなどを見ていると、牛がドッグフードのような草ではない餌を食べているところを見ました。あれは何ですか?牛は草以外の餌も食べるのでしょうか。それともあれは草をドッグフードのようにしたものなのでしょうか?

   
   
答え

基本的には牧草を食べてます

牛は草食動物ですから、基本的には牧草を食べて生きています。牛は小腸の前に4つの胃があり、1番目と2番目の胃の中には数多くの微生物が棲んでいます。私たち人間が牧草を食べても消化することができないのに、牛が牧草だけを食べて生きていられることができるのは、胃の中にいる微生物のおかげなのです。牛の胃の中の微生物は牧草に含まれている繊維質を分解して酢酸(お酢)やプロピオン酸などの物質(短鎖脂肪酸)を作り、牛は短鎖脂肪酸をエネルギー源として体の成長や牛乳の生産に利用しているのです。牛の胃の中の微生物は牧草以外の植物の繊維質も分解できますので、イネや小麦の藁(写真1)、リンゴやミカンなど果物やトマトなどの野菜ジュースの搾りかす(写真2)、ビールやウイスキーの醸造粕、サトウキビやビートから砂糖を搾り出したかすなどを食べて栄養を吸収することができます。このように私たち人間が食料として利用できない牧草や農産副産物を飼料として利用し、乳や肉を生産してくれる牛は、人類と資源を競合しないとても大切な食糧の生産形態なのです。

 

トウモロコシや大豆も食べますが...

一方、牛はトウモロコシ、小麦、大麦、大豆など私たち人間が食料として利用している穀物も食べることができます(写真3)。これらの穀物は牧草や藁など繊維質を多く含む飼料よりも消化されやすく栄養価も高いため、牛乳を多く生産している乳牛や肉牛を太らせるときに給与されています。牛にドッグフードのような飼料を与えていることを見かけることがあるかと思いますが、それは濃厚飼料といってトウモロコシや大豆などの穀類が含まれた栄養価の高い飼料なのです。このため濃厚飼料を与えることによって乳牛により多くの牛乳を生産させ、肉牛をより速く成長させることができますが、与えすぎると胃の中に棲んでいる微生物の調子が崩れ、牛自体も病気になってしまいます。これまでの日本の畜産は、人間が食料として利用できる穀類などを外国からたくさん輸入し畜産物の生産量を増やしてきましたが、同時に病気や環境汚染の問題が深刻化してきました。牛はいろいろなものを食べることができますが、牛は草食動物であるということを今一度見直す時期に日本の畜産はさしかかっています。
 
回答者/帯広畜産大学 花田正明
小麦ワラの収穫風景
マトジュースの搾り粕
飼料用トウモロコシ

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