畜産物の生産情報Webサイト生産者情報畜産Q&A消費者と生産者の現地交流会リンク集ブログこのサイトについて
トップページ
畜産物生産者と消費者を情報で繋ぐWebサイト。生産者の情報提供、消費者の方との交流を通じて安全安心な生産物流通を目指します。
HOME 畜産Q&A > 子牛が産まれたらどんな世話をするのですか?(肉牛・乳牛 種付・分娩)

畜産Q&A

前ページ 次ページ
質問

子牛が産まれたらどんな世話をするのですか?(肉牛・乳牛 種付・分娩)

妊娠してから出産まで、動物によって期間が違いますが牛はどれくらいで産まれるのですか?
また子牛が産まれたら、農家の人はどんなことをするのですか? そもそも、農家ではどのように妊娠させているのですか?

   
   
答え

人工授精と発情発見

牛の妊娠期間は約280日です。今日では特別な場合を除き全て人工授精によって子牛が誕生します。自然界では雌が発情期だけ雄の交尾を受け入れることで受精のタイミングが決定されます。しかし、家畜である乳牛については人間が発情を見つけなければなりません。発情期の牛は落ち着きがなくなり、採食量や乳量が減り、放し飼いの場合には雌牛同士で、雄牛の交尾のような行動を示しますので、酪農家はこれらの発情徴候を目安として妊娠可能なタイミングを見計らい、人工授精を行います。なお、最近は、受精卵移植という、直接、受精卵を子宮の中に移植する技術も普及しており、乳牛から和牛の子牛が誕生するといった光景を目にすることも多くなっています。

 
子牛の誕生(産道から子牛の前肢が出てきている

母から子へ免疫の伝達『初乳』

人の赤ちゃんは、お母さんの子宮の中で胎盤をとおしてお母さんから免疫をもらうので、生まれたときには既に病原体に対する抵抗力を持っています。しかし、牛には、そのような機能はありません。子牛は、初乳(濃厚な黄色い乳で、子牛が病気にかからないようにするための免疫成分(グロブリン)を大量に含んでいる)を介して免疫をもらうことで、病原体に対する抵抗力を備えます。ただし私たちが飲用する普通の乳には免疫成分は含まれておらず、免疫が含まれているのはお産後の24〜48時間に搾る初乳だけで、特に最初に搾った乳には最も多く含まれています。しかも、子牛がグロブリンをそのまま吸収できるのは、生まれた直後が最も効率がよく、24時間を過ぎるとまったく吸収できなくなってしまいます。したがって、子牛が誕生すると、何よりも最初にやらなければならないことは、出生後できるだけ早期に2L以上の初乳を飲ませ、子牛が病気にかからないようにすることなのです。
黄色で濃厚な初乳

丈夫な胃袋と健やかな成長のために

子牛の哺乳期間は1.5〜2ヶ月です。この間、子牛は清潔で乾燥した子牛舎(カーフハッチなど)で飼育し、ミルクだけでなく専用の濃厚飼料(カーフスターター)を与えます。そして、カーフスターターを十分に食べられるようになったことを目安に離乳します。また、草食動物として牧草を食い込める胃袋の発育を促すために、良質の乾草を自由採食させることも重要です。
子牛の屋外飼育施設(カーフハッチ)

牛と人の安全のために『除角』

最近では、角のある搾乳牛を見かけることは殆どありません。これは、乳牛には角がないのではなく、子牛のときに角が伸びないようにしているためです。角があると、牛同士で争ったり、人に危害が加えられたりする恐れがあります。そこで、頭頂部の角の生え際を子牛のうちに電気ゴテで焼ききってしまう『除角』が行われます。この処置は、子牛があまりストレスを感じない生後3週〜2ヶ月齢頃に行います。

回答者/帯広畜産大学 木田克弥

(C)2008 Japan Livestock Industry Association All Rights Reserved.