お乳ができるまで
日本でもっとも多く飼われていて、親しまれている黒と白のブチ模様がある乳牛はホルスタイン種といいます。これはドイツのホルスタイン地方が原産地です。日本ではもう1つ、美しい黄金色の毛をもつ小型のかわいい乳牛を見かけますが、これはジャージー種といって、イギリス海峡にあるジャージー島が原産地です。乳牛がのんびりと草原で緑の牧草を食べている風景は私たちを楽しくしてくれます。人は胃袋が1つで、草を食べても消化できませんから、他の好きな食物を食べたときのようにからだの栄養にすることができません。しかし、乳牛には胃袋が4つもあります。乳牛が食べた緑の草は、ドラム缶ぐらいの大きな第1胃(ルーメンといいます)に入ります。第1胃には非常に多くの微生物や原虫が棲んでいて、入ってきた草の繊維質を分解してくれます。ここで分解されてできた栄養成分は第4胃をとおり、小腸から大腸へと移動しながら細かく分解されて、からだに吸収されます。この栄養成分は乳牛のからだを循環している赤い血液によって乳房に運ばれます。乳房の中には無数の乳腺があって、血液で運ばれてきた栄養成分から牛乳がつくられ、乳房の中にある貯乳槽にたまります。搾乳すると4つの乳頭から、乳腺でつくられた白くかがやく栄養たっぷりの牛乳がでてきます。
太陽の光をあびて牧草が育ち、その青い草を健康な乳牛がたくさん食べ、吸収された栄養成分が赤い血液の循環によって乳房に運ばれ、乳腺で白い牛乳につくりかえられます。牛乳は太陽からの贈り物ということができます。
回答者/新潟青陵大学短期大学部 荒井威吉
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