牛乳が白く見えるのは、脂肪球粒子よりもカゼイン粒子が光を乱反射させるためです。また散乱した光が白く見えるのは、赤、緑、青の光の3原色がほぼ同じ程度に散乱される場合です。波長の短い青色の光はやや強く散乱しますから、脂肪を除いた脱脂乳は同じ白色でも少し青みがかって見えます。牛乳を60℃以上に加熱すると白さが強くなりますが、これはホエータンパク質という成分の一部が凝固して光の反射率が増えるためです。さらに加熱すると、乳糖が乳タンパク質や尿素と反応して褐色に変わります(アミノ・カルボニル反応をおこします)。
しかし牛乳を良くみると、その他の多くの色をもっています。牛乳は白色からクリーム色をしていますが、クリーム色は乳脂肪に含まれるカロチン(ビタミンA)やキサントフィルによるものです。また食酢などを加えて乳タンパク質を凝固させると、やや白い上清(ホエーといいます)ができます。この上清はリボフラミン(ビタミンB2)による蛍光性の黄緑色をしています。牛乳を太陽の光にさらしておくと、リボフラビン(ビタミンB2)が減って、ピンク色に変化します。また牛乳に消毒液の次亜塩素酸ソーダが混ざると、乳タンパク質中のトリプトファンとチロシンが分解されて、同じようにピンク色に変わります。
牛乳の色には、白色だけでなく多くの色が入っていますので、観察してみてください。
回答者/新潟青陵大学短期大学部 荒井威吉 |