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畜産Q&A

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質問

どうして牛乳は白いのですか?(肉牛・乳牛 泌乳生理)

先日小学1年生の息子に「どうして牛乳は白いの」と聞かれたのですが、答えられませんでした。正直なんでお乳が白いのかということはもちろん、お乳がどのように出来るのかということも分かりません。お乳がどんなふうに出来てどうして白いのか、教えてください。

   
   
答え

多重散乱して白く見えます。

牛乳には乳タンパク質や乳脂肪、乳糖、カルシウムなどの無機質とビタミン、その他の成分が含まれています。乳タンパク質の約80%はカゼインというミセル状になった非常に小さな球状をしています(カゼイン粒子といい、可視光線の波長の1/2以下の大きさです)。あとの20%はホエータンパク質といいます。乳脂肪も乳腺の細胞膜に包まれて球状になっています(脂肪球粒子といい、平均して可視光線の波長の5〜10倍の大きさです)。牛乳中では、カゼイン粒子や脂肪球粒子が小粒子となって無数に分散しています。太陽の光がこれらの小粒子にあたると乱反射して、四方八方へその光が散らばります(散乱といいます)。散らばった光は1回のみの反射にとどまらず、さらに多数の小粒子とぶつかって多数回の反射を繰り返します(多重散乱といいます)。このようにほとんどの光を反射してしまうものは白く見えます。またこの現象を「チンダル現象」といいます。
すこし難しい話しをすると、太陽の光が散乱するためには、小粒子がある程度の大きさであり、それが溶けている溶媒との屈折率が異なることが必要です。光の波長より短い粒子にぶつかって散乱する現象を「レイリー散乱」といい、光の波長と同じぐらいの粒子にぶつかって散乱する現象を「ミー散乱」といいます。前に記したとおり、カゼイン粒子は光の波長より短く、かつカゼイン粒子の数は脂肪球粒子と比べると非常に多いので、牛乳が白く見える主な要因は、カゼイン粒子に対するレイリー散乱と多重散乱によるものです。

 

牛乳の色・あれこれ

牛乳が白く見えるのは、脂肪球粒子よりもカゼイン粒子が光を乱反射させるためです。また散乱した光が白く見えるのは、赤、緑、青の光の3原色がほぼ同じ程度に散乱される場合です。波長の短い青色の光はやや強く散乱しますから、脂肪を除いた脱脂乳は同じ白色でも少し青みがかって見えます。牛乳を60℃以上に加熱すると白さが強くなりますが、これはホエータンパク質という成分の一部が凝固して光の反射率が増えるためです。さらに加熱すると、乳糖が乳タンパク質や尿素と反応して褐色に変わります(アミノ・カルボニル反応をおこします)。
しかし牛乳を良くみると、その他の多くの色をもっています。牛乳は白色からクリーム色をしていますが、クリーム色は乳脂肪に含まれるカロチン(ビタミンA)やキサントフィルによるものです。また食酢などを加えて乳タンパク質を凝固させると、やや白い上清(ホエーといいます)ができます。この上清はリボフラミン(ビタミンB2)による蛍光性の黄緑色をしています。牛乳を太陽の光にさらしておくと、リボフラビン(ビタミンB2)が減って、ピンク色に変化します。また牛乳に消毒液の次亜塩素酸ソーダが混ざると、乳タンパク質中のトリプトファンとチロシンが分解されて、同じようにピンク色に変わります。
牛乳の色には、白色だけでなく多くの色が入っていますので、観察してみてください。

回答者/新潟青陵大学短期大学部 荒井威吉

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