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畜産Q&A

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質問

家畜の牛にはどんな種類がありますか?(肉牛・乳牛 肉牛、乳牛の品種)

牛というと、白黒のホルスタインと黒い和牛ぐらいしか見た事がありません。牧場にはこれ以外にもいろんな種類の牛がいるのでしょうか?

   
   
答え

肉用牛

日本では牛の約6割が肉用牛です。牛は荷物を運んだり田畑を耕したりする役用として、またその糞尿を堆肥として田畑に利用する目的で飼われはじめた歴史的背景があります。 現在日本で飼育されている肉用牛は、肉専用種の黒毛和種、褐毛和種、無角和種、日本短角種が約6割を占め、残りの4割を乳用種の雄(去勢牛)やF1といわれるホルスタインと黒毛和種の雑種が占めています。 牛肉を一般庶民が食べ始めたのは明治以降で、役用に使用した後の利用でした。日清・日露戦争や第1次大戦といった戦争によって牛肉を食べることが広まり、また外国から様々な品種が輸入されて日本在来種の和牛と交配されました。大正時代には乳用種と肉用種が分かれ、牛肉の消費量も増え、本格的に在来牛が外国種とかけ合わされて改良されました。第2次世界大戦以後、和牛の品種が固定されて、肉専用種が作られました。

回答者/帯広畜産大学 木田克弥

 

黒毛和種

黒毛和種は、日本で最も多く飼われている肉専用品種です。中国地方で古くから飼われていた在来牛に外国の品種をかけ合わせて改良し、最初は役肉兼用種(農耕に使った後、肥育する)として利用していました。 現在、オスの体高は142cmで、体重962kg、メスの体高は130cmで、体重520kg前後となり、四肢が強健な肉用牛に改良されています。

褐毛和種

褐毛和種とは、熊本県と高知県で飼われていた朝鮮牛を基礎とした赤牛に、明治以降にシンメンタール種や朝鮮牛を交配し、改良した品種です。 熊本系の体格は黒毛和種より大型で、オスの体高は142cmで、体重は960kg、メスは体高129cmで、体重540kgくらいです。去勢肥育牛の22-23カ月齢での体重は、670kg、1日増体重は1.05kgです。性質は温順で、体質が強健な上、暑さに強く、粗飼料の利用性がよいなどの利点があります。

無角和種

無角和種は、山口県阿武(あぶ)郡で在来和牛をアバディーン・アンガス種によって改良して生まれた品種です。毛色は黒毛和種よりも黒が強くなっています。鼻鏡や蹄(ひづめ)も黒く、完全に無角で、体の幅が広く、腿(もも)はよく充実し、四肢は短く、全体に丸みを帯びていて、典型的な四角い肉用牛体型をしています。 オスの体高は145cmで、体重980kg、メスの体高は128cmで、体重580kgくらいです。

日本短角種

日本短角種は、東北北部原産の肉用種で、この地方では古くから南部牛と呼ばれ、鉄鉱山での作業や太平洋からの塩の運搬に使われていました。この南部牛に、1871年(明治4年)アメリカから輸入されたショートホーン種とデイリー・ショートホーン種を交配して改良しました。毛色は濃赤褐色、和牛としては大型です。メスの体高は132cmで体重590kg前後です。肉質は繊維が粗く、脂肪交雑も黒毛和種に比べて劣り頭数も減ってきていますが、放牧に適し、早熟で早く肥り、子牛の保育能力に優れています
肉用牛の写真や体格などについては(社)全国肉用牛振興基金協会のHP肉用牛豆知識を参照してください。

乳用牛

日本の牛の約4割が乳用牛で、皆さんが良くイメージされる白黒のホルスタインがほとんどです。この他の品種では、ジャージー種やブラウンスイス種がわずかに飼われています。乳用牛の約半数が北海道にいます。世界的には乳用牛は多種類いて、各国でその気候風土に合った地方特有の乳用牛が作られ、多彩なチーズやバター、ヨーグルトといった乳製品を作っています。

ホルスタイン種

明治時代から日本に輸入されている乳用種で、原産地は、オランダ北部ライン河河口の低湿地であるフリースランド地方や、品種名の由来となったドイツのホルスタイン地方です。性格は温和ですが、寒さに強い反面、暑さに弱いです。 ホルスタイン種の産乳能力は年間6000-1万kgときわめて高く、アメリカでは年に3万kg以上、日本では2万kgを生産する牛、スーパー・カウもいます。しかも、乳用牛としては産肉性が高く、1日の増体量は1.1kgです。現在、日本の牛肉生産の中で、ホルスタイン種のオスの肥育は肉用牛として重要な位置を占めています。

ジャージー種

ジャージー種は、英仏海峡のジャージー島原産の乳用種です。フランスのブルトン種とノルマン種を基礎に作られ、ブルトン種の影響を強く受けています。 体重がホルスタイン種の約2/3程度と小柄なため、乳量は年間約4000kgとそれほど多くありません。しかし、乳脂肪率が高く(約5%)、脂肪球も大きいのでクリームが分離しやすく、その上、カロチン含量も高くて美しい黄色がでるので、バター原料乳として最適で、こくのあるアイスクリームも作られます。やや神経質ですが、暑さに比較的強いため、熱帯地方の乳用牛の改良に多く利用されています。
世界の家畜の品種の写真と説明(英文)がアメリカのオクラホマ州立大学のHPで見られます。
このHPで牛の品種はCATTLEをクリックすると、ウィンドウ左側にアルファベット順に品種名のリストが出ます。

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