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一志ピックファーム

事業社名 有限会社 一志ピックファーム
所在地 三重県津市一志町波瀬13
連絡先 TEL 059-294-7522

作って幸せ、食べて幸せの「ヘルシーポーク愛」

農場から西へ直線で約12キロ、そこは標高600m~800mの青山高原。若狭湾から琵琶湖を経て、伊勢湾へ抜ける"風の通り道"である。高さ50mのタワーの先端で直径50mのローターが風を受けて、環境にやさしいクリーンな電気を作り出している。
県下の養豚農家は減少の一途をたどり、その数はわずか70戸である。しかし、見かたを変えれば精鋭揃いでもある。ここ一志ピックファームも県下で屈指の大 規模養豚である。種雌豚520頭から年間1万頭を超す肉豚に愛情を込めて育て、出荷している。「おいしく食べてもらえれば食べた人は幸せ、そしてそれを育 てた自分たちも幸せ」と語るのは荒木田斎蔵社長である。
一志ピックファームの前身は、伊勢で養豚を営んでいた父、荒木田幸一さん。当初の経営は子取り経営であったが、現在の社長が、昭和48年に就農し種雌豚100頭規模の繁殖肥育一貫経営に規模拡大、その後、昭和60年に現在地に移転し同社を設立した。
この会社ではおししい豚肉の生産を目指して、スタッフが豚の発育ステージ毎に責任を持って担当している。繁殖から肥育まで行う当農場で基本となるのはやは り種付け作業である。発情期を見逃すことなく適期に行わなければ農場全体の成績が下がってしまうという重要な役割を担うのは、この道20年のベテランス タッフだ。人工授精技術にかけては農場一で、ある養豚雑誌では、「現場のことは場長に聞け!」のコーナーで元気な声を届けた。
どのステージもどんな仕事でも持ち場の責任を果たして、一丸となって会社を支えている。繁殖担当、分娩担当、離乳、肥育、そして環境保全とその受け持ち範囲もそれぞれではあるが、社長を中心に仕事に励んでいる。
養豚経営では、このように人材も必要であるが、肉豚をつくる素材、優秀な母豚や雄豚が重要である。社長は、イワタニケンボローの種豚を導入している。導入 した種豚から当農場の母豚になる種雌豚の生産も行っている。この豚の持つ資質は、豚そのものが強健であり、飼育環境を整えてやるとスクスクと育ち、そして なによりもおいしい豚肉の生産につながることである。この資質に惚れこんで、早くも20年以上がたったというわけである。
豚の資質を活かすには、飼料が大きな影響を及ぼす。脂肪の質を向上させたり、肉のしまりを良くするために、飼料に小麦粉を30%加えたり、「オオバコ」 「スイカズラ」「ベニバナ」などの漢方生薬も添加している。さらにこの地が環境に配慮した風力発電にゆかりの地であることは先に述べたが、この農場では肉 豚の飼料に「食品残さ」を研究しながら利用してきた。三重県科学技術振興センター畜産研究部が行う実証試験として、研究を重ね、今日に至っている。
環境保全については、資源循環型農業への取り組みも積極的である。畜舎で発生するふん尿は、まず固液分離する。固体(ふん)は、攪拌により堆肥化し、水田 に肥料として散布する。堆肥を散布するために大型のマニアスプレッダも導入し、散布の省力化を図っている。発酵には稲作の副産物として出るもみ殻を譲り受 け副資材として使用する。この一連の流れにより資源が循環しているのだ。臭気対策のひとつとして、EM菌も使っている。EMボカシを飼料に混ぜることによ り、ふんの臭いが緩和され、良質な堆肥が生産できるようになった。液体(尿)については、曝気処理し環境に負荷のない状態にまで浄化する。
資源の循環について荒木田さんは、「家畜堆肥をもっと使っていけば、農家が化学肥料を使う機会が減り、環境面でもプラス、収量もプラス、味もプラスになる。」と自信をもって語る。
衛生対策では、場内に入る自動車の消毒や、外部から豚舎に入る者に対しシャワーを必須条件にしていることからも、防疫が大前提であるという社長の姿勢が理 解できる。もちろん場内の移動についても要所に消毒槽を設置したり、長靴の履き替えを励行するなど安全の確保のために手抜きはない。
農場で使用する薬剤や注射針などの管理は、HACCPの管理方法を基本として、使用数の確認や記録記帳を実践している。
このような農場から生産された安全・安心の豚肉の直販については、社長夫人の洋子さんが担当している。「ゆとりある経営を目指している。」と言いつつもお 客様からの注文に多忙の毎日である。また、個人のお客様だけではなく、「ヘルシーポーク愛」を使いたいというレストランからも注文が入るようになった。全 体の生産量からすれば、直販される量はまだまだ少ないが、「お客様から『すごく美味しかった。』と言ってもらえることが何よりも嬉しいことです。」と洋子 さん。
自社ブランドの「ヘルシーポーク愛」は、飼育に関わるスタッフの愛もさることながら、たぶん荒木田夫妻の愛が集約された味を感じ取れるのであろう。

生産現場の風景等写真

■肉豚舎
■生産の基礎となる人工授精
■分娩舎のようす
肉豚舎 生産の基礎となる人工授精 分娩舎のようす

整備された施設では、空調、温度、湿度など豚の飼育に適切な環境を保っている。


適期に人工授精を行い、効率的な養豚であるように努力している。ベテランの技術が光る。


1腹当たり10頭程度の子豚が生まれる。初乳を十分に飲ませることが、元気な子豚を育てる基本である。生まれた子豚の体重は約1.6kg程度である。


■離乳舎
■発育盛り
■肉豚舎のようす
離乳舎 発育盛り 肉豚舎のようす

離乳後、30kg程度までは、離乳舎で育てられる。子豚たちは、衛生対策のためにも、オールインオールアウト方式でひとつの群としてまとめて移動などを行い、疾病の感染防止に取り組んでいる。移動後は豚房の水洗、消毒を行い、空舎期間を設けている。


成長速度が一番早い頃の子豚。50kg程度になると病気の心配も少なくなり、スクスクと育つ。


出荷する豚は生後180日齢、体重115kg程度である。肉質を良くするため、飼料には小麦粉を加えたり、漢方生薬の「オオバコ」「スイカズラ」「ベニバナ」なども与える。


■種豚舎の母豚
■候補豚
■飼料タンク
種豚舎の母豚 候補豚 飼料タンク

種付けを確認した母豚は分娩前までここで飼育される。個体ごとに適量の飼料が給与され、太りすぎや痩せすぎがないように管理する。当農場には約520頭の母豚が飼育されている。


母豚になる前の「候補豚」。種付けまでは、群として飼育されているが、生年月日や両親など必要な情報は個体管理されている。


専用のトラックで搬入された飼料は、その種類ごとに別々のタンクに保管され、ここからパイプを通じてそれぞれの豚舎へ自動的に搬送される。


■食品残渣の利用
■整理整頓された薬品や器材
■堆肥化処理
食品残渣の利用 整理整頓された薬品や器材 堆肥化処理

食品工場から出る製造残渣を肉豚に給与している。県の三重県科学技術振興センター畜産研究部と共に研究実証してきた。写真はラーメンの製造残渣。


場内で使用する薬品や注射針などの器材管理はHACCPの管理理念の下で使用記録を取り、使用数などの状況を把握している。


豚糞の処理は、専任の職員を配置し、攪拌発酵処理して良質な堆肥を生産している。発酵処理のためには、地元のもみ殻を利用し、資源の循環に当たっている。


■マニアスプレッダ
マニアスプレッダ

堆肥の散布を効率よく行うために、自社専用にマニアスプレッダを導入した。農場で生産した堆肥を近在の水田に散布し、資源循環を確立している。


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