畜産物の生産情報Webサイト生産者情報畜産Q&A消費者と生産者の現地交流会リンク集ブログこのサイトについて
トップページ
畜産物生産者と消費者を情報で繋ぐWebサイト。生産者の情報提供、消費者の方との交流を通じて安全安心な生産物流通を目指します。
HOME 畜産Q&A > 牛はどんな草を食べているのですか?(肉牛・乳牛 牧草の品種)

畜産Q&A

前ページ 次ページ
質問

牛はどんな草を食べているのですか?(肉牛・乳牛 牧草の品種)

牛が草食なのは知っていますが、実際どんな草を食べているのでしょう?牛はいわゆる雑草を食べているのでしょうか?牛に好き草、嫌いな草はないのですか。

   
   
答え

牛が食べている草はイネ科牧草とマメ科牧草

牛が食べる草には主にイネの仲間とマメの仲間の草があります。代表的なイネ科の牧草は、チモシー(おおあわがえり,写真1)やオーチャードグラス(かもがや,写真2)、イタリアンライグラス(ねずみむぎ)、ペレニアルライグラス(ほそむぎ)などがあり、芝生に利用されている草(ながはぐさ)も実はイネ科の牧草です。マメ科の牧草には、シロクローバ(しろつめくさ,写真3)やアルファルファ(うまごやし,写真4)、アカクローバ(あかつめくさ)などがあります。イネ科の牧草はマメ科の牧草に比べて繊維質が多く含まれています。繊維質は、牛の胃の中の微生物の重要なエネルギー源であるとともに、胃の運動を活発にする作用があり、牛にとって必要不可欠な栄養素です。牛は胃の中に棲む微生物が作る物質(短鎖脂肪酸)を主なエネルギー源として利用していますので、微生物の活動が弱ってしまいますと牛もエネルギー不足になってしまいます。また、繊維質の摂取不足で牛の胃の運動が止まってしまうと、牛のお腹がガスで膨れて牛は窒息してしまいます。一方、マメ科牧草には、牛の発育や牛乳の生産に必要なタンパク質や、牛の健康維持に必要なカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが多く含まれています。このようにイネ科とマメ科では含まれている栄養素に違いがあり、両方の牧草を食べさせることによって栄養のバランスをとっています。

 

放牧地では牧草以外の草も食べるが....

牛舎の中で飼われている牛は、上で紹介しましたような牧草を乾草にしたりサイレージにしたりしたものを食べています。乾草とは、牧草を太陽の熱で乾かして水分含量を20%以下にしたもので、サイレージとは牧草を酸素のない状態で乳酸発酵させた漬物のようなもので、いずれも牧草が育たない冬でも牧草を牛に食べさせるために牧草の保存性を高めたものです。一方、放牧されている牛は草地に生えているイネの仲間やマメの仲間の牧草を食べますが、その他に草地の周りに生えているササ、ススキ、オオバコ、アカザなどの野草を食べることもあります。しかし、アザミ(写真5)のように植物の表面にトゲがある植物を食べることはありません。ワラビ、トリカブト(写真6)、ウマノアシガタ、イヌスギナなどの毒草を牛が食べることは滅多にありませんが、放牧地の牧草が少なくて牛がお腹をすかしている場合、誤って食べてしまうこともあります。これらの毒草を食べてしまうと、食欲不振、下痢、貧血、呼吸困難などになってしまい、重症の場合には死に至ることもあります。
 
回答者/帯広畜産大学 花田正明
チモシー:日本で栽培されている牧草で最も寒さに強いイネ科牧草で、北海道にはなくてなならない牧草です。
オーチャードグラス:再生力に優れたイネ科牧草で、北海道から九州にかけて栽培されています。
シロクローバ:日本で最も多く栽培されているマメ科牧草です。
アルファルファ:牧草の女王といわれるほど牛が大好きなマメ科牧草です。
アメリカオニアザミ:牛もヒツジも全く食べず、北海道を中心に広がりつつあります。
トリカブト:キンポウゲ科の植物。キンポウゲ科には福寿草やウマノアシガタなど有毒植物が属しています。

(C)2008 Japan Livestock Industry Association All Rights Reserved.