牛が草食なのは知っていますが、実際どんな草を食べているのでしょう?牛はいわゆる雑草を食べているのでしょうか?牛に好き草、嫌いな草はないのですか。
牛が食べる草には主にイネの仲間とマメの仲間の草があります。代表的なイネ科の牧草は、チモシー(おおあわがえり,写真1)やオーチャードグラス(かもがや,写真2)、イタリアンライグラス(ねずみむぎ)、ペレニアルライグラス(ほそむぎ)などがあり、芝生に利用されている草(ながはぐさ)も実はイネ科の牧草です。マメ科の牧草には、シロクローバ(しろつめくさ,写真3)やアルファルファ(うまごやし,写真4)、アカクローバ(あかつめくさ)などがあります。イネ科の牧草はマメ科の牧草に比べて繊維質が多く含まれています。繊維質は、牛の胃の中の微生物の重要なエネルギー源であるとともに、胃の運動を活発にする作用があり、牛にとって必要不可欠な栄養素です。牛は胃の中に棲む微生物が作る物質(短鎖脂肪酸)を主なエネルギー源として利用していますので、微生物の活動が弱ってしまいますと牛もエネルギー不足になってしまいます。また、繊維質の摂取不足で牛の胃の運動が止まってしまうと、牛のお腹がガスで膨れて牛は窒息してしまいます。一方、マメ科牧草には、牛の発育や牛乳の生産に必要なタンパク質や、牛の健康維持に必要なカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが多く含まれています。このようにイネ科とマメ科では含まれている栄養素に違いがあり、両方の牧草を食べさせることによって栄養のバランスをとっています。
(C)2008 Japan Livestock Industry Association All Rights Reserved.